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ニコ・ヒュルケンベルグ「Do you reckon?」
公式動画の頭、FP1でのヒュルケンベルグの無線です。
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
コロナウイルスに感染したセルジオ・ペレスの代役としてF1復帰を果たしたヒュルケンベルグは、昨シーズン限りでF1へのフル参戦はしていないものの評価は未だに高く、代役とはいえど期待大。
金曜日の朝に電話で呼ばれてすぐに駆け付けたにも関わらず、優れたパフォーマンスを見せてくれたため、代役が必要になるたびにヒュルケンベルグの名前が挙がっていたので、実は現役時代よりも注目を浴びた2020シーズンだったのではないでしょうか(笑)
さて、本題に移ります。
身長173cmのペレスに比べ、ヒュルケンベルグは184cmと高身長なため、急遽ペレスのマシンに乗ることになったヒュルケンベルグはだいぶ窮屈な思いをしたに違いありません。
今回紹介する無線はまさにその窮屈さを物語る内容です。
Mate, do you reckonI could have a quick breather? My right ass cheek is getting a bit numb. There’s quite a pressure point down there.
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
「ねえ、軽く休憩を入れてもいいかな?右のお尻が痺れてきたんだけど。下の方が結構窮屈なんだよね。」
F1お決まりイギリス的な表現「reckon」
ヨーロッパのスポーツであるF1ではイギリス英語で使われる表現が良く出てきます。今回紹介する「reckon」、「思う・推測する」といった意味ですが、イギリスやオーストラリアで特に使われる言葉です。
※アメリカで「reckon」を使われることはあまりないそうで、日本人にも知っている「think」もしくは「suppose」なんかが一般的なようです。
なので、今回の発言も「Do you “think” ~」としても意味が大きく変わることはないです。イギリス英語に興味がある人は押さえておくべき単語ですね。
例 : I reckon Tsunoda will be a great driver in F1.
訳 : 角田はいいF1ドライバーになると思うよ。
ダニエル・リカルド「Yup. That was SKETCHY.」
続いては2:45から開始、危険なブロックをするマグヌッセンに対するリカルドの無線です。
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
ブレーキングゾーンに入ってからラインを変えてインを閉めたマグヌッセン。後ろでオーバーテイクを仕掛けたリカルドは間一髪で避けることが出来ました。
接触は免れたため大事にはならなかったものの、マグヌッセンの動きに不満を示すリカルドは次のように発言します。
Yup. Yeah that was sketchy.
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
「うん。あれは危なかったよね。」
意味がいくつかある「sketchy」
今回は非常に単純な文でしたが、「sketchy」の意味、正しく理解できましたか?
実はこの単語、元の意味から派生したいくつかの意味があります。
1.大さっぱ、あいまいな
この単語を聞いたとき、絵を描くスケッチをほうを思い浮かべた方は少なくないはず。スケッチとは絵を描く前の下準備のようなもので、細かい部分はあまり捉えず、比較的大雑把に書きますよね。
「sketchy」はまさにその形容詞で、「大雑把な・あいまいな」といった意味になります。
例 : I reckon Tsunoda will be a great driver in F1.
訳 : 角田はいいF1ドライバーになると思うよ。
これが元々の意味で、以下で紹介する派生した意味もこのニュアンスがもとになります。
このようにたくさんの意味を持った英単語を覚えるときは、元の意味を大事にするようにしましょう。すべての意味を覚えるのではなく、単語の”イメージ”を大切にすると正しい用法で使えるようになりますよ。
2. 怪しい・胡散臭い
大雑把なものって信用に足りなく、疑わしいですよね。
そこから派生して「sketchy」は「怪しい・胡散臭い」といった意味にもなります。
例 : I reckon Tsunoda will be a great driver in F1.
訳 : 角田はいいF1ドライバーになると思うよ。
3. 危険な
さらに派生させます。
怪しい場所や胡散臭い商売など… そういったものは総じて犯罪が絡んでいたり、自分に不利益が生じたり…
つまり、危険です。なんと「sketchy」は「危険な」といった意味で使うこともできるのです。
例 : I reckon Tsunoda will be a great driver in F1.
訳 : 角田はいいF1ドライバーになると思うよ。
マックス・フェルスタッペン「If you get on with it」
イギリスGP最後に取り上げる無線は4:12以降のフェルスタッペンものです。
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
残り2周地点でトップを独走するハミルトンを捉えることはできないと確信したフェルスタッペンは、ファステストラップを狙うためにピットへ入りタイヤを交換します。
レースは残り一周、ハミルトンがこのまま圧勝するかと思いきや、ボッタス同様タイヤがパンクする緊急事態が発生!
コースのちょうど半分あたり、ターン9でタイヤがバーストしたハミルトンは3輪走行でゴールまで走ることを余儀なくされます。この時点でフェルスタッペンとハミルトンの差は約30秒。
ハミルトンがパンクしたことを伝えられたフェルスタッペンは次のようにチームへ質問をします。
Can we win this?!
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
「俺たちは勝てるのか?!」
これに対してチームからは一言。
If you get on with it!
出典 : A Dramatic Finale, Lewis Hamilton’s Close Call And The Best Team Radio | 2020 British Grand Prix
「君がグズグズしなければね!」
※結局フェルスタッペンが約5秒差までタイムを縮めたところでハミルトンはチェッカーを受けます。それにしても、最後までドキドキの展開でしたね….
とにかく行動を開始しよう「Get on with it!」
チームからのメッセージ「get on with it」は、「すぐに動く・グズグズしないで行動する」という意味の慣用句です。
何かやりたいことがあってもできない理由を挙げて後回しにしていませんか?とにかくいろんなことにチャレンジしてみましょう!グズグズしているとフェルスタッペンのようにチャンスを逃してしまうかも?
※あの状況でフェルスタッペンはどうしようもなかったんですけどね… ハミルトンがラッキーなだけでした
例 : 「Do you think I should start Youtube?」「Just get on with it!」
訳 : 「Youtube始めたほうがいいと思う?」「とにかくやってみなよ!」
ハミルトン、緊迫の無線フルバージョンはYoutubeに載せています。フェルスタッペンとのタイム差も表示しているので一緒にドキドキしてみては(笑)↓