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カルロス・サインツ「ON IT.」
公式映像1:15~、予選Q3終了後のサインツの無線。
出典 : Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
予選3位と素晴らしいアタックラップを決めたサインツ。
トウ(スリップストリーム)が非常に重要なモンツァでは、予選のポジション取りが重要になります。
アタックラップ前に前方を走るリカルドの後ろにしっかりつけなかったサインツは当初「やってしまった」と思ったらしいですが、完璧なラップを決めて満足のようです。
It involved high risk, high reward. Cheers guys, what a quali! Honestly, one of the best qualis I’ve done with you guys. ON IT.
出典 : Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
「ハイリスクに伴ったいい結果だよ。いいね、みんな、素晴らしい予選だった!正直に言うと、君たちと戦った中でも最高の予選の一つだったよ。乗ってるぜ。」
ノリノリ!「(I’m) on it」
「I’m on it」直訳すると「私はそれの上にいる」となんのこっちゃとなりますが、実は「調子がいい・ノリに乗っている」という表現です。
日本語でも好調なことを表す表現に「乗っている」とありますが、結局何に乗っているのか分からないですよね…(知っている方いたら教えてください)
英語でも全く同じで、何の上か知らないけど乗っている「on it」状態です。
例 : Hamilton is on it winning 7th title!
訳 : 7度目のタイトルを獲得するなんてハミルトンはノリに乗ってるね!
カルロス・サインツ「one at a time」
続いてもサインツの無線。動画5:29~、レース34周目での一幕です。
出典 : Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
レースも中盤を過ぎた頃、セーフティーカーやハミルトンのペナルティに助けられ、トップを走るアルファタウリのガスリー、アルファロメオのライコネンに続く3位につけるサインツ。
ライコネンはリスタート直後の数周は好ペースで走るものの、ソフトタイヤを履いていたこともありペースが落ち始めます。
この時点でトップ争いはガスリーとサインツにほぼ絞られていますが、間にいるライコネンを抜くことさえできれば、マシンが優れているサインツが圧倒的に有利な状況。
ガスリーが順調にライコネンを引き離す中、サインツが優勝するためには一秒でも早くライコネンをオーバーテイクすることが求められます。
そんな焦るサインツにチームから無線が飛んできます。
Carlos you can be patient with Raikkonen, you can be patient.
出典 : Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
「カルロス、ライコネンに対して辛抱強くいこう、辛抱強くね。」
ガスリーに多少離されてもサインツには追い上げるペースがあると踏んだのでしょう。タイヤを痛めつける動作だけは避けなければいけません。
すると、サインツから「ガスリーのことの方が心配だよ。」と焦りの無線。
サインツを落ち着かせるためにチームからは次のようなメッセージが伝えられます。
One at a time, Carlos. One at a time.
出典 :Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
「一台ずつ行こう、カルロス。一台ずつね。」
ひとつずつ「one at a time」
「at a time」で「一度で」という意味です。
つまり、「one at a time」だと「ひとつずつ」、「two at a time」だと「ふたつずつ」という風に考えることができますね。
決して難しい表現ではないですが、パッとはなかなか出てこない表現なのでメモしておきましょう。
例 : Mazepin, one stupid problem at a time!
訳 : マゼピン、バカみたいな問題は一回ずつにしてくれ!
▼ 「Clinical」という単語もありましたが、そちらはアブダビGP編で解説しています ▼
ジョージ・ラッセル「It’s gonna be a shame.」
ラッセルからチーム代表のクレア・ウィリアムズへのさよならメッセージから。(7:50~)
出典 : Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
2020イタリアGPをもってウィリアムズF1のチーム副代表の座を退くことになるクレア・ウィリアムズ。
※チーム代表は父のフランク・ウィリアムズですが、実質的な代表はクレア。
父フランク・ウィリアムズが築いた名門F1チームの主導権を2013年に引き継ぎチームを支えてきましたが、近年は成績が振るわないことに加え、経営自体も危うい状況。
2020年の夏にアメリカ企業、ドリルトル・キャピタルに売却が決まったことをきっかけに、チーム首脳陣からウィリアムズ一家は退くことになります。
苦しい時もチームを何とか立て直そうとし、共にレースを戦ったクレアが関わる最後のレース直後、ラッセルが労いの声を掛けます。
I’d just like to take this opportunity to say to Claire and thank Frank. Thank you so much for everything you’ve done for me. For the whole team. It’s gonna be a shame to see you leave. We’ll really miss you and… Yeah… just thank… Thank you from the bottom of my heart.
出典 :Gasly’s Joy, Ferrari’s Pain And The Best Team Radio | 2020 Italian Grand Prix
「この機会にクレアとフランクに言いたいことがある。僕のためにしてくれた全てのことに感謝したいよ。というかチーム全体のためにね。君が(F1)去るのは残念だ。寂しくなるよ… うん… 心の底から礼を言うよ。」
複数の意味がある「shame」
「shame」には用法が複数あります。
恥を知れ!「Shame on you!」
まず紹介する用法は「恥」という意味で使う「shame」です。
道徳的にまずいことをしたり、やってはいけないミスを犯してしまったことを意味します。
例 : Haas must feel shame for not penalizing Mazepin.
訳 : ハースはマゼピンを罰しないなんて恥を知るべきだ。
残念だ「It’s a shame」
今回ラッセルが使った「shame」はこちらの意味になります。
「shame」には「恥」という意味のほかにも「残念なこと」を意味することを覚えておきましょう。
「残念なこと」を意味する「shame」の頭には冠詞の「a」がつくのがポイントです。
「恥」の用法しか覚えていないと、だれから「Oh it’s a shame.(あー残念だね)」と同情の言葉をかけてもらった時にショックを受ける羽目になります。
例 : It will be a shame if 2021 season will not start as it’s planed.
訳 : 2021シーズンが予定通り開催されなかったら残念だね。