\ 2020年最終戦アブダビGPの「無線で学ぶF1週末英会話」はこちら /
ジョージ・ラッセル「Massively got in my way!」
予選1回目Q1でのラッセルの発言から始めましょう。公式動画0:20~です。
出典 : Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
ラッセルはアタックラップ中、前にルノーのオコンとアルファロメオの一台(どっちのドライバーかは分かりません…)が低速走行しています。
アルファロメオはチームから指示を受けていたのかすぐさまレーシングラインを譲ります。しかし、オコンはレーシングラインに乗ったまま避けず、高速で近づいてきたラッセルが急ブレーキで回避せざるを得ませんでした。
おそらくチームから情報がなくオコンもどうしようもなかったのかと思いますが、ウィリアムズにとってQ1はまさに勝負のセッション、これを台無しにされたラッセルは強い不満を見せます。
Ocon just massively got in my way. Mate, that was MAGA dangerous.
出典 : Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
「オコンにめちゃくちゃ邪魔されたよ。あれは超危険だったね。」
※オコンもやっちまったことに気づいたらしく、チームには「あれはよくなかったね。ペナルティを受けることになるよ。」とミスを自覚した様子。チームからも「そうだね」と一言。
結局オコンはレースで3グリッドの降格処分を受けることになります。
道をふさぐ「get in my way」
「get in my way」は直訳をすると「私の道に入ってくる」、つまり「道をふさぐ・邪魔をする」という意味になります。F1ではよく予選中に妨害されたり、レース中の周回遅れの車に対して使うことが多いですね。
例 : Yuji Ide gets in my way all the time!
訳 : 井出有治にいっつも邪魔されるんだけど!
セバスチャン・ベッテル「You’ve messed up.」
1:20から始まる、チームの戦略へ強い不満を見せるベッテルの無線です。
出典 : Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
今年は不調が続くベッテル、今回の70周年記念GPも決して例外ではなく予選は11位と落ち込みました。
なんとかレースで挽回を狙いましたが、意気込みすぎたのか1コーナーでまさかの単独スピン…
最後尾から追い上げますが、28周目新品のタイヤを履いてピットから出たベッテルの前には長い行列が… せっかく新しいタイヤを履いても、前に車がいてペースを上げられないのであれば意味がありません。
そんな”俺たち”チーム(このネタを知らない方はググってください…)の戦略ミスにベッテルは不満を伝えます。
That is in the gap we didn’t like. We spoke about it this morning. I will hang in there, but you know that you’ve messed up!
出典 : Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
「これは嫌なギャップだ。朝に話し合ったじゃないか。頑張るけど、君たちはやらかしたよね!」
頑張る!「hang in there」
「hang」は服を掛ける”ハンガー”のように「かける」という意味です。それに「in there」は「その場所で」を組み合わせてみると…
なんとなくイメージ出来ましたでしょうか?
直訳だと「しがみつく」といった意味になりますが、ここでは「諦めないで頑張る」といった方が適切でしょう。
戦略をミスして、もうチャンスはないかもしれないけど、とりあえず頑張ってみるよというベッテルの一言ですね。
例 : I’m sad that there’re no races in winter but I’ll hang in there.
訳 : 冬の間はレースがなくて悲しいけど、何とか頑張るよ。
やらかす「mess up」
こちらもカジュアルで使いやすい表現なので紹介します。
「mess」というのは動詞だと「汚くする・混乱を起こす」、名詞だと「散らかっている様子・混乱」の意味です。
つまり「mess up」は「混乱を起こす・失敗する」といった意味になります。スラングなので仕事場や目上の人に使うのはあまり適切ではありませんが、日常生活ではよく使う言葉なので覚えておきましょう。
例 : Sainz has messed up going to Ferrari next year.
訳 : サインツは来年フェラーリに行くというミスをした。
マックス・フェルスタッペン「Sanitize! Hydrate!」
最後は2:15~、トップを快走して暇になったフェルスタッペンのおふざけ無線から。
出典 : Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
4位スタートでありながらタイヤ戦略でメルセデス勢に有利なこともあり、レースは終始フェルスタッペンがコントロールする展開。
終盤はボッタスとハミルトンがバトルを繰り広げてくれたこともあり、独走状態のままトップでチェッカー、レッドブル・ホンダにとって今季初の勝利を飾りました。
終盤はクルーズ走行(ながし運転)をしていたためか、暇になった様子のフェルスタッペンのエンジニアを気遣う無線です。
GP… Did you hydrate during the race? You must have some sweaty hands as well so don’t forget to sanitise!
出典 :Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
「GP(フェルスタッペン担当のエンジニア、Gianpiero Lambiaseのニックネーム)…レース中に水分補給したかい?手に汗握っただろうから消毒も忘れないでね!」
水分補給をする「hydrate」
冬は水分補給を忘れがちなので、しっかり意識的にしましょうね。体の免疫を高める効果もあるので、このご時世には欠かせません。
「水分補給をする」は英語で「hydrate」と言います。「hydr(o)」という文字が単語の頭についていれば水・液体関係の意味だと覚えておきましょう。車好きだと”ハイドロプレーニング”という言葉を聞いたことがあるでしょう。(水の上でタイヤがグリップを失う現象です)
もし友達が水分補給を忘れていたらきちんと教えてあげましょう!
例 : You must’ve been so tense watching the race, so keep hydrated!
訳 : レースを見てとても緊張していたに違いないから、きちんと水分補給をしよう!
消毒・殺菌をする「sanitise(sanitize)」実はもう一つの意味も
こちらも今は特に大事な単語ですね。
「sanitaise」は「消毒する・殺菌する」という意味になります。(「sanitize」はアメリカ英語、「sanitise」はイギリス英語のスペリングです)
フェルスタッペンが使ったのは消毒するという意味ですが、実はもう一つ別の用法があります。
それは「不適切なものを削除する」という意味です。
2:55~からチーム代表のクリスチャン・ホーナーからフェルスタッペンへの祝福メッセージでこのように発言しています。
Unbelievable race, Max. That was fully sanitised!
出典 :Max Verstappen’s Joy, Mercedes’ Frustration And The Best Team Radio | 70th Anniversary Grand Prix
「信じられないレースだよ、マックス。まったく無駄がなかったよ!」
「Sanitise」の二つの用法を掛けた高度なジョークですね!さすが、お笑いチーム代表ホーナーです。
例えば、児童書なのに不適切な部分があるから削除する、自分は昔こんな失敗を犯してしまったから経歴から削除する、という時に使うことが出来ます。
こちらの意味は、コンピューターに少し詳しい人は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?実はテキストデータにおいて特殊文字を一般的な文字列に変換することを「サニタイジング」といいます。エラーが引き起こされるような危険な文字を無害な一般文字に”消毒する”わけですね!
例 : My dad touched this steering wheel so I have to sanitize my hands!
訳 : お父さんがこのハンドルを触ったから、手を消毒しなきゃ!