コロナウィルスの影響で異例の7月スタートとなったF12020シーズンが、アブダビGPでついにフィナーレを迎えました。
”密”なスケジュールでチームスタッフには負担も大きかったかと思いますが、素晴らしいシーズンでした!多くのドラマチックなレース、そして人間ドラマも多くみられましたね。
最終戦のアブダビGPはレースとしては”普通”?特に大きな番狂わせなどは起きていないですが、多忙なシーズンを締めくくるに値する正統派レースでした。
そんな最終戦を振り返り、今週もしっかり英語も勉強しましょうね!
2020年アブダビGP「シーズンフィナーレ、そして”お別れ”」
フェルスタッペン、ポールトゥウィンで圧勝!
今季、予選はメルセデスが独り勝ち状態でした。雨となったトルコGPでのストロールのポールポジションを除けば、メルセデスが予選トップを独占しています。
そして、今回もメルセデスの一台がポールを獲得すると思われましたが、レッドブルのフェルスタッペンが見事予選トップタイム!2位のボッタスに0.025秒差という僅差のバトルを制しました。
決勝レースでは終始トップを走り、最後はクルーズ(流し運転)で後方をコントロールし、トップでチェッカーを受けました。来年はレッドブルにエンジンを供給するホンダにとってF1最後の年となりますが、来季に向けていいモチベーションとなる勝利だったのではないでしょうか。
※とはいっても、メルセデスも全力を出せたわけではないようです… それでも是非メルセデスとレッドブルのガチンコ勝負が見たいですね!(フェラーリは来年は難しいかも(笑))
フェルスタッペン、今季初のポールを獲得した際の無線フル(日本語訳付き)はこちらから↓
アルボンは今季一番の走りでレッドブルへアピール
今季、レッドブルで苦戦を強いられているアルボンは予選5位とノリス(マクラーレン)の後ろ、レースではメルセデスの邪魔をしたいとレース前に語っていました。
レース序盤こそ、ノリスの後ろでくすぶり上位3台に話されたものの、セーフティーカー後は大きく離されることはなく、終盤タイヤが苦しくなってきたメルセデス勢を追い上げる展開に。最終的にはオーバーテイクまでは出来なかったものの、戦略の幅を狭めるという面ではメルセデスの邪魔に成功しました。
もちろん、レッドブルに乗っている以上この結果で十分とは決して言えませんが、このような走りを今シーズン続けて入れたら少なくともシート喪失の危機にはならなかったかもしれません。最後にこのような走りを見せられてレッドブル首脳陣も頭痛の種が増えたのではないでしょうか。
※F1界では著名なプレゼンター、テッド・クラビッツによると、レッドブルはすでにペレスで決定したとの噂も…まだ正式発表はないので、もう少し気長に待ちましょう。
チームへ別れを告げるドライバーたち
今シーズンはチームの移籍やF1からの引退など、多くのドライバーが共に戦ったチームから飛び立ちます。最終戦のアブダビGPではそんなドライバーたちから感動的なメッセージを数々聞くことが出来ました。
どんなにレースでは上手く行かなくても、長い時間同じ目標に向かって一緒に戦った仲間です。シーズン中は口論もありましたが、最後はみんなが感謝の気持ちでいっぱいなことが無線からも伝わってきました。
そんな心温まる無線も記事後半で紹介するので、是非最後までお楽しみください。
クリスチャン・ホーナー「That was absolutely clinical!」
公式映像の2:30付近から始まるフェルスタッペンとチームの無線から紹介します。
圧倒的なレースを展開したフェルスタッペンとチームは、最高の形でシーズンを終えることが出来、喜びを爆発させます。
フェルスタッペンはチームに対して感謝の気持ちや過密スケジュールで疲労しているチームスタッフへ労いの声を掛けます。その発言に、チーム代表のクリスチャン・ホーナーは次のように返答します。
Max, that was absolutely clicical! Well done, enjoy it!
「マックス、まさに絶妙なレースだった!よくやった、楽しんで!」
ここで紹介するのは「clinical」です。もともとは「臨床の」という意味で、よく「clinical trial」つまり「臨床試験」という並びで使われることが多いですね。でも、ここで医学の話はしないでしょう…
実は僕も意味が分からなかったので、英語辞書で調べてみました。でも、出てこない… そこでUrban Dictionaryというスラングを主に扱うネット辞書で調べると、次の定義が載っていました。
Performing with a high degree of precision.
Urban Dictionary : https://www.urbandictionary.com/define.php?term=clinical
(高い精度で実行されること)
つまり、「臨床を行うほど正確に、的確に物事を進める」という意味なのでしょう。僕にとっても新しい発見でした!
もう少し詳しく調べたら、サッカーの用語に「Clinical finish(クリニカル・フィニッシュ)」というものがあるらしいです。サッカーには詳しくないのですが、「ゴールにつながる優れたシュート」を意味するそうです。
なるほど、という感じですね!(サッカーに詳しい人、もっと教えてください(笑))
例 : F1 is getting so clinical these days that it’s hard to follow all the news.
訳 : 最近のF1は洗練されすぎて、ニュースを追うのが大変だよ。
アンドレアス・ザイデル&ケビン・マグヌッセン「All the best」
上記動画4:35スタートのサインツとチームのお別れメッセージから、使える”お別れ”フレーズを紹介します。
レースは6位でフィニッシュ、マクラーレンとしてはこれでも悪くない結果ですが、コンストラクターズ3位は彼らにとって大きな達成です。メルセデスとレッドブルのすぐ後ろですからね!
偉業を達成したことに、レース後はエンジニアから感謝の気持ちを伝えられます。その後すぐ、マクラーレンのチーム代表アンドレアス・ザイデルからメッセージが届きます。
Well done, last two years, thanks for all the hard work. Thanks for all the points. All the best.
「よくやった、2年間ね、そして頑張ってくれてありがとう。多くのポイントを取ってくれてありがとう。健闘を祈っているよ。」
ここでザイデルが最後に発した「All the best」は別れ際に今後の成功を祈るという意味で使われる表現です。「幸運を祈る」カジュアルだと「頑張って」くらいの印象でしょうか。
別れはつらいものです。でも必要な別れもあります。そんな時、「All the best」と言って別れればお互いポジティブに、今後の目標に進めるのではないでしょうか。
サインツの無線フル(日本語訳付き)はこちらから。別れ際でも楽しそうな雰囲気が感じられます↓
似たような(というか同じ)表現に「I wish you all the best」があります。上の「All the best」はこの「I wish you ~(あなたが~だったら)」を省略したものですね。
アブダビ戦が引退レースとなったケビン・マグヌッセンもチームにこの言葉をかけています。感動的な無線なので、是非フルで聞いてみてください↓
例 : I’m sad that you have to leave but I wish you all the best in the future.
訳 : 君が去らないといけないのは悲しいけど、幸運を祈っているよ。
まとめ
シーズン最後のアブダビGPの無線は楽しめましたか?
無線を聞くとF1がチームスポーツであることがよくわかりますね。ドライバー・エンジニア・全スタッフが共に乗り越えてきた苦労がその言葉から伝わってきます。
このコーナー「F1週末英会話」はドイツGPから始めたので、その前のレースの記事はありません。そこで、F1のシーズンオフ中も開幕戦から順に「F1週末英会話」を更新していく予定です。週1くらいのペースで更新していく予定ですので、どうぞお楽しみに!