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マックス・フェルスタッペン「Why not?」
FP2でのフェルスタッペンの無線から。公式動画では0:09からスタートです。
出典 : Hamilton Wins, A Frantic Last Lap And The Best Team Radio | 2020 Styrian Grand Prix
フリープラクティスなので大したドラマはないのですが、おそらくアタックラップを決めようとしていたフェルスタッペン。前を走行するメルセデスの一台がコーナー入口ギリギリまで譲ってくれなかったために、ラップを台無しにされてしまいます。
そんな状況に苛立ちを隠せないフェルスタッペンは無線で次のように伝えます。
They’re so f*cking blind man, it’s unbelievable. Why not just tell them to move!?
「ク〇目が悪いやつらだな、信じられないよ。(チームが)奴らにどけっていえばいいだけじゃないのか?」
ネイティブもよく使う「Why not ~ ?」
フェルスタッペンが使った「Why not」、実はいくつか意味があります。ここでは僕が思いつく範囲で紹介します。
単純な疑問
こちらは文字通りの意味になります。つまり、「なぜだめなんだ?」「なぜ違うんだ?」です。
我らがライコネン先生のいい例がありますので以下の動画でご覧ください。注目の箇所は4:05から始まるプレスカンファレンスでの一幕です。
インタビュワー「Talk us through why you’re doing that?」
“なぜそのようなこと(サウバー(現アルファロメオ)に移籍すること)をするか教えてください”ライコネン「Why not?」
“なぜしないんだ?”
さすが”アイスマン”、一言で片づけました(笑)
もっとライコネンのおもしろ無線が聞きたい方はこちらから↓
強い賛成・同調
上の”単純な疑問”から「なぜしないんだ?」→「もちろんするだろ!」という風に派生して、強い賛成の意味になることもあります。
例えば、相手から何か誘われたときの返事として使えますね。
例 : 「Do you want to go watch F1 in Suzuka next year?」「Why not? Of cource, I’ll go!」
訳 : 「来年鈴鹿にF1を観に行かないか?」「当たり前だろ!もちろん行くよ!」
提案
今回フェルスタッペンが使った「Why not」の意味はこちらが正解です。
基本的なニュアンスは上の二つと同じです。「なぜしないんだ?」→「してみたらいいじゃないか」という流れです。
例 : Why not just let Nikita Mazepin to drive at Haas?
訳 : ニキータ・マゼピンをハースで走らせてみたらどうだ?
シャルル・ルクレール「Let’s try at least」
続いては2:00から始まるルクレールの無線です。その直前のベッテルの無線もセットなので、流れを知りたい方はそちらも確認してみてください。
出典 : Hamilton Wins, A Frantic Last Lap And The Best Team Radio | 2020 Styrian Grand Prix
1周目のターン3でベッテルのイン側に飛び込み、少し無謀なオーバーテイクを試みたルクレール。もちろんベッテルとルクレールのマシンは接触、両者マシンにダメージを負うことになります。ベッテルはそんな彼に平然を装いながらも不満がある様子で、次のようにチームへ伝えます。
Somebody took off my rear wing. I don’t know that was.
「誰かが僕のリアウィングを取ってったよ。誰かは知らないけどね。」
これは明らかにルクレールが犯人だということを知っているトーンです(笑)「言わなくても分かるよね?」ということでしょうか。
そんな怒っているベッテルと反面、ルクレールは自分のレースに精一杯な様子です。チームにマシンの状況をしつこく聞きます。しかし、チームからは「ダメージはあるけど影響の大きさは分からない」と伝えられます。
そこでルクレールは以下のように無線で発言します。
I want to finish this race. I mean, we never know. Let’s try at least.
「このレースはフィニッシュしたいんだ。ていうか、まだ分からないじゃないか。せめて挑戦はしようよ。」
使い勝手抜群「at least」
「least」は「less」の最上級、また「best」の反対の言葉です。ニュアンスとしては「とても少ない」ことになります。つまり、「at least」は「少なくとも、最低でも、せめて」という意味になるわけです。
結構論理的に話したいときに使える慣用句なので覚えておくようにしましょう。文の中にちょこんと付け足すだけで、ニュアンスが伝わりやすくなるので便利ですよ。
例 : Albon has to get at least one podium this year for Redbull.
訳 : アルボンはレッドブルで、今年最低でも一回表彰台に登る必要がある。
マックス・フェルスタッペン「As you are!」
最後は2:49から始まるフェルスタッペンの無線より。
出典 : Hamilton Wins, A Frantic Last Lap And The Best Team Radio | 2020 Styrian Grand Prix
予選2位からスタートしたものの、レース中盤ペースがいいボッタスに追い回される展開となったフェルスタッペン。エンジニアから次のように伝えられます。
Both Mercedes drivers have been instructed to push.
「メルセデスのドライバーたちは(チームから)プッシュするようにと言われてるよ。」
それを聞いたフェルスタッペンは、
What do you want me to do?
「僕にどうしてほしいんだ?」
フェルスタッペンはもう限界までプッシュしているのでしょう。それでもメルセデスの方がペースがいいため、為す術がない状態の様子です。チームはもっとパワーを与えるだったり、指示を出すと思いきや…
As you are!
「ありのままで!」
そのままの自分を受け入れる「as you are」
「as you are」は上でも説明した通り、「ありのままで」「そのままの自分」という意味の慣用句になります。
フェルスタッペンの状況では、チームとしてはこれ以上できることが何もないため、「いまのままで出来るだけ頑張ってくれ!」という意味が込められているのだと思います。
チャーリー・プースの”As you are”という曲を思い出したので紹介しておきます。
この曲の一節から、今回の例文を紹介したいと思います。
例 : I would take you as you are.
訳 : 僕はありのままの君を受け入れるよ。