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サーキット再舗装の予約はお早めに!?

F1で学ぶ科学&技術解説

F1がトルコGPに戻ってくるとのことでファンは大喜びでしたが、フリープラクティスを見た人はあれ?と思った方も多いでしょう。まるで氷の上を走っているようにツルツル….ドライバーもステアリング操作が忙しそうです。

マシンは大幅に進化しているし、2011年のラップレコードは簡単に更新されると思いきや、フリープラクティスの段階では全然及びそうにもない様子です。

路面がツルツルの理由はサーキットが「再舗装」をしたからです。もちろん、温度が低いことも理由の一つですがいくら寒くてもここまでF1マシンが躍るのを見る機会はそれほどないでしょう。

今回は路面の再舗装でなぜグリップが失われるのかについてまとめてみます。

そもそもサーキットを再舗装する理由は?

サーキット・公道に限らず多くの路面はアスファルト舗装されています。構造としては、砂利や土壌の上にアスファルトを敷いている状態です。

いくらアスファルトが頑丈だといっても経年劣化は避けられません紫外線温度変化によってもダメージは蓄積しますし、ましてやサーキットなんかは車が激しく上を通るので余計に負担がかかるでしょう。そして、ダメージが蓄積したアスファルトは徐々にひび割れを起こしていきます

そして、雨が降るとひび割れから中に水が浸透し、下の砂利がゆるゆるになってしまいます。そんな状態でまたサーキットを走ると負荷がかかってアスファルトが浮く・ひび割れする状態になるのです。

イスタンブール・パークは2011年以降F1以外の開催は少なかったとのことなので、ひび割れがひどくて走れない!というような状況ではなかったと思いますが、細かな凸凹を拾うF1マシンがほぼ10年ぶりに走るということで急いで再舗装を決めたのでしょう。

asphalt1

出典:https://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/doboku/doiji/documents/asphalt1.pdf

なぜ再舗装でグリップがなくなったのか

でも、なぜ再舗装するとグリップが無くなるのでしょう。新しい路面は綺麗だしなんだかもっとグリップしそうですよね。公道だとそうかもしれません。少なくとも悪影響はほぼないでしょう。

タイヤラバーの影響

レーシングカーにとって再舗装後のピカピカ路面は悪夢と言ってもいいでしょう。よくレースを行っているサーキットはたくさんのレーシングカーが走っています。レーシングカーのタイヤはしっかり熱が入っているときは溶けてネバネバになり、路面にくっつくことで高いグリップを発揮します。それと同時に、タイヤのゴム成分(よくラバーという)が路面に馴染んて行きます。天気がいい日にサーキットをよく見ると、レーシングラインが黒くなっているのが分かります。レーシングラインは最も多くのマシンが通る場所なので、ラバーが多く乗っているのです。もちろん、ラバーが乗っている場所はグリップも高くなります。

ところが、再舗装してしまうと路面にラバーは全くありません。タイヤは路面にくっつかず、ツルツル上をすべることになります。個人的な意見ですが、ラバーの残り方というのは線形的に増えるというものではないと考えています。ある程度ラバーが乗っている状態では、タイヤが一層発熱し強くグリップするため、一回の走行で路面に比較的多くのラバーを残します。しかし、まったくの新舗装では、そもそもタイヤがグリップしないためラバーも路面に乗らないといった状況になるでしょう。たまに雨が降った後にラバーが流されてしまうことがありますが、マシンが一斉に数十周も走ればグリップは元に戻ってきます。

アスファルトの油成分による影響

ラバーが少ないことに加えての影響も考えられます。サーキットなどで使われるアスファルトの主な構成成分は石油です。路面は石油成分(正確には残油)に砂利を混ぜて固めたものと思ってもらえばよいでしょう。

アスファルト舗装は液状のものをローラー車で踏み固めて作りますが、短時間で固まるというわけではなく、特に中の方ではまだ柔らかい箇所があります。固まりきらなかった石油成分の一部は表面に浮いてくることもあるようです。今回は、さらにそこに雨が降ったために、中にあった油が表面まで浮いてくるスピードが速かったとも考えられます。

再舗装の施工を始めるのが遅かった

ピレリによると、サーキット運営側から再舗装するとの連絡を受けたのはレースの4週間前だったとのことです。確かにコンクリートとは違い、アスファルトは比較的早く固まるので(1~数日で大丈夫とのこと)4週間もあれば問題ないかとは思いますが、油成分が完全に固まる、もしくは流れるまでには時間が足りなかったのかもしれません……

しかし、ピレリ側としては次に述べることに対する不満のほうが大きかったでしょう

ピレリのタイヤ選択ミス

ピレリはトルコGPに次のタイヤを持ち込むことを発表しています。C1(ハード)C2(ミディアム)C3(ソフト)です。つまり、最も固いコンパウンドを持ち込んだわけです。なぜかというと、イスタンブール・パークはF1開催サーキットの中でも特にタイヤに荷重がかかるサーキットだといわれています。特に有名なターン8では、右側のタイヤにとてつもない負荷が長時間かかります。今シーズンはマシンのダウンフォース増加によりタイヤの破損が多発しており(シルバーストーン等)、その再発を恐れたピレリは最もコンサバティブな固いタイヤを持ち込んだのです。

ピレリは再舗装によってタイヤが機能しないことを予測していましたが、たった1か月ではタイヤコンパウンドを変更するのに十分ではなかったようです。

実際に、FP2ではソフトタイヤで走行したドライバーも多かったですが、ソフトタイヤでもコールドグレイニング(スライドしすぎてタイヤがよれてくること)が発生するという悲惨な状態でした。

トルコGPはどうなるか?

レースまで予測不可能

FP1、FP2と路面にはラバーが乗ってきて明らかにコンディションは改善しています。しかし、レース時にどこまで改善されるかは誰も予想できないでしょう。FP1、FP2ではレッドブルが好調、メルセデスは苦戦しているように見えましたが、予選・レースではどのような位置関係になるのか分かりません。

路面が改善したとしてもレーシングラインから外れたらツルツルでしょうし、スタートはアウト側が圧倒的に有利でしょう。ポルトガルGPのようなカオスなスタートがまた見られるかもしれません。

チームは不満タラタラのようですが、ファンとしては楽しみといわざるを得ません(笑)

レース戦略のスイートスポットは狭くなるかも

ポルトガルGPでも似たような状況でしたが、ソフトタイヤ以外は全く機能しない状況ではレース戦略としては幅が狭くなるでしょう。出来るだけ柔らかいコンパウンドで長く走るのがカギになってくるのではないでしょうか。しかし、戦略は狭くなるといっても、チームとしても予測は難しいレースです。今必死になって戦略を練っているでしょうが、当てられるチームは少ないでしょう。逆に下位のチームは番狂わせを起こすチャンスですね。

まとめ

一言でいって”楽しみ”です!(笑)

荒れた展開が予想されてファンとしてはうれしい限りです。
チームのみなさん、頑張ってください!(他人事)